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うちのこうたです。
保育士経験15年以上、家庭でも2児の子育て真っ最中です。
子供が複数人で遊んでいると『おもちゃの貸し借り』の場面が、高い確率で発生します。
「貸して」
「いいよ(どうぞ)」
「ありがとう」
「あとで」
これらの言葉・やり取りの流れを伝えていくのは、他でもない 大人の役目 です。
この記事は、以下のような思いを持つ方向けに書いています。
・子どもがおもちゃの貸し借りを上手くしてくれない
・おもちゃの貸し借りって、どうやったらできるようになるのか
「こういう声のかけ方をするといいよ!」というテクニック論ももちろん大切なのですが、この記事ではそれより少し前… おもちゃの貸し借りって、そもそもこういう前提があるよね! という内容をメインにまとめています。
何かしらのヒントになると幸いです。
言葉かけ以外にも、重要なポイントがあります!
おもちゃの「貸して」「いいよ」のやり取り
そもそも他の子が持っているおもちゃに触れてみようとする・興味を持つというのは 他人への興味が湧き始めた証拠 とも言われています。
人間は1人では生きていけないので、この姿はいわば、人間が持っている本能的な部分とも言えるかも知れません。
そこで更に見られる場面は おもちゃの取り合い から始まるケンカ・トラブルではないでしょうか。
これが始まると、大人の介入が必要です。
「貸しては?」
「いいよ(どうぞ)は?」
「ありがとうは?」
こういった言葉を投げかけたことがある方、多いと思います。とても大切なことですね。
『こういう場面では、こう伝えるんだよ』『こういう言葉を使って、やり取りをするんだよ』というのは 大人が伝えていく以外、習得する術は基本的にありません。
ここで あたりまえ と思って、思考停止で伝えていくのではなく、考えたいことが1つ。
「貸して」「いいよ(どうぞ)」の 強要・強制 になってないか?ということです。
確かにこういったやり取りは、出来るようになった方が良いし、出来るようになって欲しいという思い・願いは、大人として自然と持ち得るモノです。
それをサラッと伝えるだけなら良いものの、子どもが言ってくれないからといって…
「貸してでしょ?」
「ありがとうは?」
と、いつまでも言い続けてしまうと、もはや 言わされている 状態です。
『言葉のやり取り』を教えていたつもりが、子どもにとって「貸して」「ありがとう」のやりとりが ただの作業 になってしまいかねません。
この記事のタイトルにもある『言わされた言葉に意味は無い』は、まさにこのことです。
では、どうやって、どの程度、伝えていけばいいのか…?
ここからは、たとえ話も交えながら解説していきます。
『大人同士のやり取り』に置き換えてみる
あなたは新しいマンガを買いました。
「さぁ、読むぞー!」とワクワクしながら、ページをめくっていきます。
10ページほど読み始めたところで、友人がやって来て、こう言います。
「ちょっと、それ貸して」
いやいや、ちょっと待ってくださいよ。と。
まだ読んでなさすぎて、さすがに貸せない…となりますよね?
最後まで読み終わったあとならまだしも、まだ序盤。
全然満足できていない状態 です。
つまり、コレです。
貸す側 が「よし、貸してあげよう」と思う 条件 は 満足できているか による部分が大きいということです。
飽きるほど繰り返し読んだマンガであればあるほど、スッと差し出すことが出来ますよね。
おもちゃで遊んでいる子供の場合はどうでしょうか?
「貸して」と言われて「いいよ(どうぞ)」と言わないお子さん、今、手にしているおもちゃ、十分満足できるまで、遊んでいますか?
『満足しているか』がポイント
大前提として 子どもは『脳』が発達途中 で 感情的なやりとりは、習得真っ最中 です。
「貸して」が言えるように伝えていくことは、もちろん大事です。
大事なんですけど まずはそのおもちゃで『満足するまで遊ぶこと』 が、大切になってきます。
夢中になるまで遊んでいたはずなのに、突然そのおもちゃをポイっと置いて、他のおもちゃを手に取ったり、別のところに行ったりすることってありませんか?
あれはまさに そのおもちゃで遊ぶことに満足した姿 そのものなんです。
(もちろん、他にもっと興味が湧くモノを見つけたからそっちに行った、ということもあります)
「貸してあげてもいいかな」と思えるくらい、まずはそのおもちゃで遊ぶ時間と空間を確保してあげましょう。
併せて 1人ひとりに行き渡るおもちゃの数 も大切な要因です。
今、その空間にあるおもちゃの数は、果たして適切な数なのかどうか?
おもちゃの数が不十分なゆえに、取り合いやケンカが始まるのは防いでおきたいところです。
最初に環境を整えることは重要なポイントなので、いま一度、おもちゃがある空間を見渡してみて良いかも知れません。
声のかけ方の前に、そもそも『環境』が整っているか、見直してみましょう。
繰り返しになりますが「貸して」「いいよ」のやりとりを伝えることも、大切なことです。
大切なんですけど、強要・強制するのではなく、あくまで伝える程度に留める。
ある日突然、おもちゃの貸し借りがスムーズにできる日が来るはずです。
過去の経験談から余談
ここからはちょっと余談を。
過去に担任を務めていたクラスで「ありがとう」という言葉について、伝えていたことがありました。
ある子供が友達に向けた発言で、気になった言葉がありました。
「教えてもらったら、ありがとうって言わないと!」
ここでちょっと思いました。
純粋に『誰かの手助けをする』というより『ありがとうを言われるために、手助けをしていないか?』と。
「ありがとう」を強要・強制したつもりはないのですが 伝え方が難しいな と思った1コマでした。
「そんなつもりはなかったのに」と思っても、伝わり方は人それぞれ。
伝え方 に気を付けることは、損ではないなと感じた1コマです。
それって「あたりまえ」ではないかも…?
今回はついつい言ってしまいがちな「貸しては?」「いいよは?」の声かけについて触れていきました。
下記は保育の書籍になりますが、普段から何気なくやっている子供への接し方について「よく考えたら、そりゃそうだよね…」と気づきが得られる1冊です。
字だけがブワーっと並ぶのではなく、イラスト付きで読み進めやすい構成になっていますので、お子さんとの日常の関わりについて振り返りたい方にはピッタリです。
他にも「これってあたりまえじゃないよね…」というエピソードがありましたら、ぜひ教えてください!
子育てや保育は、突き詰めれば突き詰めるほど、どこまでも考えることができる世界ですが、決して「コレが正解!」というモノがあるワケではありません。
自分に合った、お子さんに合った声のかけ方、関わり方が見つかったなら、それで十分なのかも知れません。
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